長野IT飲み会から広がる人脈と場づくりの可能性
長野IT飲み会インタビュー
投稿日:2018.10.31
U-NEXUS代表取締役・上野敏良さん
アートワークセツ代表・小林武さん
CREEKS代表・古後理栄
「売上をあげるための情報交換」「売上をあげるための人脈作り」「そして飲み会中に売上をあげる」の3つの目的をもつ「IT飲み会」。IT業界を盛り上げるために2008年に大阪で発足し、今や国内外で広く開催されています。
今回はCREEKS企業会員であり「長野IT飲み会」の発起人のひとりであるアートワークセツ代表の小林武さんと、2017年の開催から主催者に加わったU-NEXUS代表取締役の上野敏良(としふみ)さん、 CREEKS代表・古後理栄が、IT飲み会の意義やコワーキングスペースCREEKSの可能性を語ります。
情報交換や人脈作りを公にして開催するIT飲み会の面白さ
——まずは小林さんと上野さん、それぞれの仕事内容を教えてください。
小林
私はWeb制作をしていて、お客様は北信を中心に東京の企業ともやりとりがあります。制作といってもただ作るだけでは将来的に厳しいので、コンサルタントなど成果を出す制作に特化しています。
上野
僕は起業して7年。iphoneやipadのアプリケーションの開発と合わせ、アプリケーションを作れる人材を育成しています。教育プログラムを作り、北は青森、南は沖縄の企業から社員をお預かりして、ライザップのようにマンツーマンで非日常空間のなか1〜2週間かけて徹底的に教えます。アプリ業界のライザップをめざして結果にコミットしていますね(笑)。
さらに、今は3つめの事業として、僕はコンサルタントとして起業の企画や新規事業立ち上げのお手伝いをしています。
——では「長野IT飲み会」はどのように始まったのでしょうか。
小林
長野IT飲み会第1回の開催は2012年で、一緒にお仕事をしていたダイイチ株式会社の代表・堀内重敬さんと共同代表という形で始めました。きっかけは、堀内さんが東京のIT飲み会に何回か参加し、全国に広がっていたIT飲み会を長野でも開催したいと言われたこと。そこで一緒に東京のIT飲み会に行ってみたらチャットワークの使い方セミナーのあとIT飲み会をやっていたんです。長野IT飲み会でもそれにならって、30分ほど話をしていただくプレゼンターを一人お迎えしています。
上野
そこが一番特徴的ですね。プレゼンターは僕らが個別にもつ人脈や他都市のIT飲み会で講師をやった方など。このようにIT飲み会は全国的なつながりもあります。
長野IT飲み会共同発起人の堀内重敬さん。いつも会を盛り上げてくれます
小林
基本的にプレゼンターには無償で来ていただいています。セミナー費用がかかると、この飲み会は成り立たないのですよね。
上野
各地のIT飲み会がプレゼンターのIT業界への貢献マインドのもと、そういう形で開催しています。
実は長野IT飲み会は2013年まで定期的に開催していたのですが、その後は止まっていて、去年5月に再開しました。僕はそこから関わっています。もともとIT飲み会の存在を知らなかったのですが、去年2月にシリコンバレーでIT飲み会に参加し、現地で活躍する日本人と交流させてもらったら素晴らしかった。そこで長野でも開催したいと思ったらすでに実績があり、主催者が知り合いの小林さんだったので、すぐに連絡しました。
小林
こちらとしては「待ってました」という気持ちでした。それまで運営も集客も大変だったので、なんとなく堀内さんとフェードアウト気味だったところに来ていただけたので「ぜひ一緒にやりましょう」と伝えました。
CREEKSで行なった11回目のIT飲み会。元楽天のプロマーケッターをゲストとしてお迎えし、公演していただきました。毎回違うゲストの方の話を聞けるとあって大盛況!
——久しぶりの開催となった2017年5月の第6回は「ホテル信濃路」で行ったのですね。
小林
参加者はIT系を中心とした二十数名で、新規の方が多かったですね。フリーランスの方もいたし、企業のWeb担当者などのほか、人材紹介など異業種の人もいました。
ただ、ホテルでの開催だとスーツを着てこないといけないような堅苦しさがあったので、その後はCREEKSで行なっています。ここの雰囲気のほうがITっぽいなと思っています。
上野
飲み会ではセミナーの後に参加者の30秒PRの時間を設けていて、自分の事業のメッセージを発信していただいています。IT飲み会のコンセプトが「飲み会中に売上をあげる」なので、そのための情報交換や人脈作りを公にやっている感じですね。飲んでいるので積極的に情報交換をし、マッチングしてビジネスにつながっているケースもあります。
30秒プレゼンタイムでは、自分の行なっている仕事の紹介などをを和気藹々とした空気の中で行います。
交流会では、お酒を飲みながら会話を楽しみます。何か新しいビジネスのキッカケとなることが多くあるようです!
小林
30秒PRもCREEKSの場合はかなりフラットで、セミナーもステージなどないのでレクチャラー側と受講側に差がなくていい感じです。初参加者も多いですし、前回のプレゼンターは上野さんのつながりで来ていただけ、上野さんが新しい風を吹き込んでくれて非常に助かっています。
交流会に欠かせないのが美味しい食事。ロジェさんからいつもケータリングをお願いしています。
CREEKSを会場にすることで生まれるつながりと企業会員の魅力
——長野IT飲み会の会場をCREEKSにしたことでの仕事の広がりなどはありますか。
小林
人のつながりは広がっていくなと思っています。例えば、CREEKS 1階の「tsunagno」は25歳以下の人が無料で使えるのですが、大学を辞めて地元の長野市に戻ってここを利用していた二十歳くらい離れた男の子とIT飲み会で知り合って、今は仕事をお願いしています。彼はプログラマー志望の雰囲気がありながら「仕事をしていない」と言っていたのでもったいないと思っていました。
上野
僕はtsunagnoでデザイン思考のワークショップをやらせてもらっています。信州大学の学生やデザイナー、システム会社のマネジャーなど幅広い人が参加してくれ、25歳以下を無料にしたので前回は若い参加者が多かったですね。アンケートの結果も良好でした。
古後
IT飲み会もデザイン思考のワークショップも、普段CREEKSに来ない層が足を運んでくれますし、久しぶりの人が来るきっかけにもなっています。やはり自分たちが企画するイベントだとどうしても同じ客層になってしまいがちなので、いろいろな発信元から情報発信していけたらいいですね。
上野さんが定期開催している「デザイン思考ワークショプ」
シリコンバレー発の「デザイン思考」を使ったイノベーション創出の手法「デザイン思考」を体験を通して学びます。
2年連続でシリコンバレーと d.school を訪問した講師の上野さんが、シリコンバレーの体験シェアも含め分かりやすく解説してくれます。
上野
長野IT飲み会は今後も定期的に開催していく予定です。
小林
参加者は、今ITの仕事していなくても、今後やってみたい人でもいいんです。IT飲み会でさまざまな情報が得られますし、私はIT業界のマーケット自体を広げ、つながりを増やしていくことで市場が生まれるのがいいなと思っています。
古後
IT系に興味がある若者は実際に業界で仕事をしている人と会えるから、勉強する方向性や入り口がわかるのではないかな。
小林
ITというと専門性が高いイメージがありますが、今はITがないとどんな業種でも仕事ができないほどみんな普通に関わっているインフラのようなもの。それに全くIT系ではない「人とのつながりがほしい」という参加者も来るので、仕事のジャンルを問わず参加してほしいですね。
上野
CREEKSでは集客もしていただけるので、イベントをやってみたいけどどこから始めたらいいのかわからない人も相談すると解決策が見つかるかもしれません。集客は本当に助かっています。
古後
おふたりともコワーキングスペースを使う会員ではなくCREEKSと関係をもつ「企業会員」ですが、私たちは会員さんとお互いにプラスになるような関係をもてるのが一番理想の形です。いろいろな仕事の相談がきたときに、会員同士で協力して広くビジネスの課題解決ができたらいいと思っているので、CREEKSでは会員情報を積極的に発信していこうと思っています。
小林
私は21歳で起業したのですが、当時はインターネットも未熟で、人とのつながりをどう構築していいかわかりませんでした。でも、今の若者はここにくればきっかけがある。すごくいい時代です。きっかけが転がっていて、相談できる人がいる場所に少しでも貢献できたら。私はそういう気持ちで企業会員になりました。
上野
こういうところは、なかなかありそうでない。場って重要で、場がもつ力で気持ちも雰囲気も変わってしまう。ここはすごく場づくりを考えられた空間だと感じています。
古後
場づくりというのは私たちが常に挑戦していることで、難しいと思いながら試行錯誤しています。一番気にしているのが「入りやすくて出やすい」こと。コミュニティのメンバーが固定すると問題が起きやすいので、それを解決する方法が「入りやすくて出やすい」だと思っています。ビジネスの場なので気持ちよくありたい。出ることは悪いことではないので、それはいつも気にかけています。
小林
実はIT飲み会の参加者が増えてCREEKSではキャパがいっぱいになってきてしまい、「今のような関係を続けたいけど場所は狭い」と相談したら、古後さんが別の開催場所を一緒に考えてくれたんです。企業会員の枠組みで活動自体を応援してくれることが面白く新鮮でした。
古後
なので、CRREKSではいろいろな大人と子どもたちが触れ合える場を一緒に運営してくれる協力企業や企業会員を募集しています。
tsunagnoには勉強などだけでなく恋愛相談に来る若い子もいるので、そういうところからも若者の考えていることがわかるかもしれません。私たちも発見がある場なので、大人もぜひ活用してほしいですね。
上野
アメリカでは「リバースメンター制度」といって、二十歳くらいの離れた若者をメンターにつけ、食事をごちそうする代わりに最近の話を聞かせてもらう、ということが行われているそうです。この制度、いいですよね。
古後
それ、ここでやりましょうよ! こうしてみんなで話しているとアイデアが出てくるのも場づくりの面白さですね。
——飲み会というカジュアルな場から新しい出会いや仕事が生まれ、さらに新たな価値観や考え方も見出されるIT飲み会。業態や仕事のジャンルにこだわらず気軽に参加できるからこそ、きっと肩の力が抜けた広い視野が開け、多様性のあるさらなる面白い動きにつながっていくのでしょう。
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第12回 長野IT飲み会
11月 30日 (金) 19:00〜21:30
料金 : 事前申込4,000円、当日申込4,500円
今回のプレゼンターは、動画マーケティングの神髄を知り尽くす株式会社サムシングファン代表取締役の薮本直樹さんをお呼びします。
http://www.it-nomikai.jp/nagano
デザイン思考ワークショップ
日時:2018年11月27日(火)14:00〜17:30
場所:新小路カフェ・ホール(長野市東町142-2SHINKOJI北棟1F)
定員:16名(定員になり次第締め切らせていただきます)
参加費:10,000円
申し込みはこちらから