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【イベントレポート】オンライン角居’s Battle Talk 『ポストコロナ ーどんな世界がやってくる?ー』× 広瀬 毅

投稿日:2020.05.08

2020年4月30日に行われた、オンライン角居’s Battle Talk 。
金属造形作家の角居康宏さんとCREEKSの広瀬が、対談形式でトークライブをオンライン配信しました。
テーマは、「ポストコロナ ーどんな世界がやってくる?ー」。
突如として私たちに降りかかってきたコロナ社会。
コロナ禍における私たちの生き方、他者とのあり方、社会のあり方について可能性を探っていきます。

配信動画はこちらhttps://www.facebook.com/CREEKSCOWORKING/videos/166274374715684/

リアルコミュニケーションのあり方はどのように変わっていくのか。

角居さんの「頑張ってSurvivalしていきましょうね!」の乾杯でBattle Talkスタート。

広瀬:ローカルのコミュニティに関わってきて思っていることは、この10年20年くらいでインターネットが広がり、オンラインでのコミュニティができてきて、広くネットを通じてコミュニケーションをとる機会が増えてきた。それに対して、ローカルや地方って、ネットではない、リアルなコミュニケーションや人と人との繋がりに価値や重要さを表に発信してきた。ところが、ここにきて、リアルコミュニケーションはバツだよとなって「リアルコミュニケーションの後退」が起きている。これから先、リアルコミュニケーションの重要さは軽くなっていくのか。地方でリアルコミュニケーションはどう変わっていくのか、最近考えていいます。

角居氏:東京、大阪などの大都市、長野くらいの中都市、僕の住んでいる過疎地域でまた変わってくると思います。大都市だと、同じマンションの隣の部屋の人との距離は近いけど、人と人との距離は遠い。田舎に行けば行くほど距離は遠いけど、個人個人のつながりは深い。

広瀬:元々ローカルはソーシャルディスタンスがある。例えばカフェを比べてみても、東京じゃ隣の席の人との距離がすごい近いけど、長野だと距離を持って座れるお店はたくさんある。それを考えても、地方の方が安全だなって感覚はある。

オフィスで考えても、地方の方が家賃が安いから、同じ額でも東京に比べて広く場所を借りられる。リアルなコミュニケーションは距離が必要になってくると、広い場所や空いてる場所が多い方に価値が生まれるのではないか。長期的に3密を避けるようになった上で、ソーシャルディスタンスをとったコミュニケーションを取りたいとなると、地方にアドバンテージがあるのではないかと思う。

角居氏:プライベートエリアの感覚が都会に行くといつも崩されてしまう。例えばバスや電車に乗るとなると、長野では席一人分開けて座っているが、都会に行くと席が一人分充たなくとも空いているとお尻をねじ込もうとしてしまう感覚に変わってしまっていて、都会に行くとプライベートエリアのチャンネルが変わってしまう感覚があるんですよね。人間として、プライベートエリアをしっかりとっておきたいって思うのが普通なのではないかと思います。

広瀬:人間が心地いい距離感を再認識すればいい。都会もだんだんと程よい距離に変わっていくのかなと思います。これからは「疎」の時代ではないでしょうか。

利他思想

角居氏:これからの時代って「利他」になっていくのではないかと思います。

これまで経済っていうのはいかに自分が儲かるかっていう思想で動かさないと経済は動かないんだけど、最終的に人を喜ばせることが自分に帰ってくるっていう考え方に持ってこないとこれからの時代は成り立たない。

ココボロさん(オンラインで参加されていた花屋さん)が権堂のアーケードの柱のプランターに水をあげている話は、おそらく商売的にいい話ではないはず。しかし、管理してきれいにすることで、権堂に人が集まり、自分の店に寄ってくれる人が増えるのではいか。全体を考えて、自分の商売を見直すのも利他だと思います。

広瀬:哲学者が広く俯瞰的に考え行き着いた利他の思想、利他の思想になってくることが、うまく普通の人たちにも伝わる何か道筋みたいなものが見えるといいなと思う。カントも同じことを考えていて、「他者を手段としてではなく目的として考えよ」と言っている。他者を利用してお金を儲けるのではなく、他者が喜ぶことをまず考えることが、世の中の平和のために重要。うまく一般の人が、普通に自分が幸せに生きることが、他者の幸せを考えることなんだって思える道筋が見えると良い。

今、手を消毒するじゃないですか。なんであれをするかと言うと、自分が移りたくないからと言うよりも、自分が感染元になってしまうのがまずいなと思う方が強いと思う。そう言う感覚って結構共有してるんじゃないかなと思う。隣近所の人が感染したことに怒るよりも、自分が感染元になって誰かに移してしまう方が腹が立つ。この感覚がグローバルに感じられるようになると、世の中の平和に繋がるのかなと思います。

「自分は何だ」 一人一人が考える。

角居氏:空気に飲み込まれないことが分岐になっていく。「自粛」ではなく「他粛」なんだってきちんとみんなが念頭において動けるか。自分で慎むならどこまで慎むか。段階的な解除になっていくが、どこで自分で線を引くのか考えることをしなくてはならない。

道徳的な判断も科学的な判断も必要。個で考えることが非常に大事になってくる。

広瀬:社会の中での一人一人の立ち位置を考えていく必要がある。

角居氏:有史以来、人類は文化芸術を途絶えさせてない。どんな危機になっても、そういう行為(芸術)をせざるをえない衝動を人間は持っている。ナチスからの迫害から最後まで生き残った人は屈強な人ではなく、自分の中に、自分の世界、文化を持っている人だった(出典:『夜と霧』)。自分の中に膨らませる豊かなものがあるってことがサバイバルに直結するんだと感じさせる一説だった。人間はまさにそれが必要だからこそそうやって生きていくんだと言う、自分で勝手なものを作っておきながら、それを後ろ盾にしている部分がある。

広瀬:文化を考えるって、自分はなんだっていうところに行く。他の作品と比べて自分の作品はなんだって言うのがある。自分ってなんだって考えることが、今のコロナ禍で生き残っていくのに繋がっていくのではないかと思う。

資本主義の世の中ってなくてもいい仕事でほとんどができている。本当に人間が生きていくために必要な職業ってそんなに多くない。しかし、資本主義社会では、付加価値を生み出していかないと経済が成長していかないので、新しい付加価値をどんどん生み出している。本質的になくてもいい商売でほとんどが成り立っている。もしかするとベーシックインカムもいいのかもしれない。この話は別の機会でやりましょう(笑)

角居氏:生活が保証されると、少なからず「自分ってなんだ」、「自分の表現ってなんだ」って考える人がもっと出てくると思うんですよ。もともと付加価値って文化芸術が持っていたエリアなので、むしろ生活を保証してあげることで、より豊かな表現だとか、より面白い生き方だとか探る人たちが増える気がします。それを人間らしい将来のあり方と言われれば、そうかもしれないなとも思います。


ローカルコミュニティの可能性、揺らぐ社会の中での私たちのあり方。お二人のお話から様々な示唆をいただきました。「自分ってなんだ」と自身に問いかけることが重要になってくるかもしれません。みなさん、揺らぐ社会の中ですが頑張ってSurvivalしていきましょう!

次回の角居’s Battle Talkもお楽しみに!

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